2001年文月【道具・焼ごて】の巻
上生菓子や、焼き菓子、お饅頭などの飾り付けの方法として、焼きごてを焼いて押しつけ焦げ模様を付ける技法があります。
下の若鮎の目、ヒレ、尾などの部分がそうです。
 
焼きごての種類としては右上の写真のように、植物や文字を象った物が殆どですが、中にはちょっと見た目には「何をかたどった物なのだろう?」と疑問に思う不思議な模様の物があります。
いい機会でしたので、ちょっと調べてみることにしました。
「新和菓子大系(下巻)」、「源氏香図」の抜粋

南北朝時代、佐々木道誉という人によって「聞道(ぶんこう)」すなわち、香をかぐことが一つの芸術とされるようになりました。
これを「香道」といって「供香(そなえこう)」「空香(そらだき)」「玩香(がんこう)」の三種類に分類されました。
その「玩香」の教養課程のひとつの「組香」は、一定の法則に則って種々組み合わせた香りを当てるもので、その中の一つに「源氏香」なるものがあります。
「源氏香」では上の記号を使って、5種類の混ざった香の嗅ぎ分を表してゆきます。縦棒で香の種類、その中で同種があった場合に横棒で繋ぐといった具合で全部で54種になります。
そして、香道をより風雅なものとするために、香図に源氏五十四帖の名にはいして巻名をつけたとされています。
以下は、上の図右端二段目の「花散里(はなちるさと)」の例です。
『橘の 香をなつかしみ ほととぎす 花散る里を 尋ねてぞ訪ふ』
この歌は五月雨の空に鳴く、ホトトギスの声を聴いて源氏が詠んだもので、優雅な風情がしのばれます。
この歌から菓子を表現する場合は、田舎家、橘、桜、八重霞、巻き柏などが適切で、吉凶に関係なく普通に用いて差し支えないが、季節感としては春から、初夏にかけて用いるのが常識とされる。 |
和菓子の世界では季節感は大変重んじられるもの、「香図」をお菓子に利用することで、各々の「巻名」に結びつく「歌」の内容からも、季節を感じ取っていただこうということだったようです。
それにしてもこれだけの種類、憶えるのも使いこなすのも至難の業ですね。
〜かしこ〜
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